杣口通信[里山便り②]


1994年創設、山梨県山梨市牧丘町杣口字青山の最奥に立つ小さな山小屋「杣口山の家」から季節の便りをお届けします。山小屋といっても一般営業はいたしておりませんのであしからず。
by somaguchi2
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11月第二週末の杣口 クマの痕跡

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 山の家の50メートルほど下、地元の T さんの畑にあるリンゴの木に、おそらくツキノワグマのものと思われる爪痕を発見しました。上がその証拠写真だが、はたしてこれがほんとうにクマのものかどうか、まだ推定の域を出てはいないのだが。
 朝早くから隣家の I さんが玄関のチャイムを鳴らして、下の畑にクマが出没したらしいから気をつけるようにと知らせてくれたのでした。数日前、根元が腐りかけたリンゴの木を押し倒して、いくつか成っていた実を食ったと畑の持ち主から聞いたらしい。しばらくして同じ話を聞いた Y さんが上がってきたので、足跡が残っているかどうか一緒に畑まで見に行って、ホームズとワトソンよろしく近辺を探索したのだが、それらしき痕跡は見つからない。あきらめて帰りかけたそのとき、倒されたというリンゴの木の幹に爪痕を見つけたのでした。
 改めて何本か立っているリンゴの木の幹を見ると、すべての木に写真のような爪の跡が残っている。つい前夜のもののように思える新しいのもあれば、古いのもある。さらに地面に転がっているいくつかの実を調べてみると、半分かじられたものや芯だけ残されたなかに、ひとくち噛んだとおぼしき深い牙の傷のある実も発見。
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 ありゃまあー、これは間違いないか。円錐形の牙の痕が深さ3センチほどに2つ。他の野生動物でこんな歯形をつけられるのはいないだろうなあ。幹の爪痕から推測するに、さほど大きなクマではないようだ。子グマかもしれない。しかし子グマがいるとなれば、親離れがまだだとすれば近くには必ず親グマもいるはずだ。
 今秋は全国的にツキノワグマとの接触事故が後を絶たない。生息数が格段に増えているという説もある。里山にクマが出没するのは、奥山に餌が不足しているからという理由だけではないという説もある。いずれにせよ、原因はひとつではなく、いくつかの要因が複合しているのだろうと思う。共存できる知恵はわたくしたち人間側で用意しなければならないのは言うまでもないと思うのだが。
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by somaguchi2 | 2010-11-15 21:01

11月第一週末の杣口

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 7日の日曜午後、帰り際に撮影した富士山です。東京のわが家から見るより雪が少なそうですが、前山に邪魔されずに五合目あたりまで見えるので相対的な錯覚でしょう。

 早朝に温度計を見ると3℃で、霜が降りてもおかしくない冷え込みでしたが、週末の両日ともよく晴れて昼間は汗ばむくらいのお天気になりました。おかげで土曜昼、塩山藤木の五味ワイナリーさんで開かれた「新酒を楽しむ会」も大勢のお客さんで盛況、わたくしはゲストに招いたソプラノの菅又美玲嬢ともどもギターとアコーディオンその他で演奏をご披露いたしましたが、新酒パーティーの宴を盛り上げるお役目を多少は果たせたでしょうか。忘れないようにプログラムを残しておきましょう。
 村祭り 花かげ月見草の花里の秋あざみの歌
 旅愁小さい秋見つけた芭蕉布  島唄花 
 さんぽ乾杯の歌(ドイツ版とオペラ版) ほか
(以下写真3点、山上さん提供)
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 翌日曜、今年最後になるだろうキノコ採りに琴川ダム周辺まであがってみると、落葉松の黄葉がちょうど盛りを過ぎたかくらいで、角度がずいぶん低くなったお日さまの斜光を浴びて輝いていました。キノコはシモフリシメジが十数本、それになんとこの時期にハナイグチが数本見つかりました。持ち帰ったかおり嬢が美味しく食べたかどうか、そのうちレポートがあるでしょう。

 美味しいシモフリシメジ。
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 落葉松の輝き。
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 奥に金峰山五丈岩。
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 キノコの森ではブナがきれいに色付いていました。
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 落葉松の黄葉をしたがえてそびえる大烏山の岩稜。
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 こんな具合に杣口の週末は暮れて行きました。
 12月18〜19日には忘年もちつき会を開きます。どうぞ予定表に入れておいてください。
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by somaguchi2 | 2010-11-09 09:31

10月最終の杣口

 関東沿岸を通り過ぎて行った台風14号は、風はさほどでもなかったものの、内陸の甲斐の国、杣口あたりにもかなりの雨をもたらしました。週末の土曜日は、終日降り止むことなく、雨があがったのは夜も更けてからで、雲間に星も見え始めたものの、期待とは裏腹に台風一過の好天は訪れることはなし。それでも、日曜日の朝は眼下の盆地にガスが巻き、幻想的な風景を見せてくれたりもしたのでした。
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 もう少し標高を上げればそこそこの秋も終盤の風景が見られただろうが、それでも裏山の紅葉黄葉はこんな具合で、白樺や山桜が植林地のあいだにきれいに色付いておりました。盆地では甲州百匁もかなり色がついてきています。
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 今回も山小屋にはたくさんの来客がありました。冬の訪れを前に、スガレやヘボとも呼ばれるクロスズメバチは採餌に飛んできましたが、ふらふらと舞い上がってはテーブルに休み休み、まもなく女王蜂さまへの奉仕のお役目も終了でしょう。
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 やはり力なく飛んでいたキイロスズメバチは、人間の A さんに叩き落とされたあげく、アシナガグモに目ざとく見つけられ、あっという間に体液を吸われてしまったのでした。
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 おやおや、草むらにはキアゲハの幼虫がまだいました。もう霜も降りるころだから、果たして無事にサナギになれるかどうか心配ですが、人間はこんな小さな自然に対しても、なにひとつしてあげられることはありませんね。
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d0179883_8502991.jpg そしてなにより、山小屋に遊びにきてくれるたびに生ビールを差し入れてくれたり、面倒な道路際の雑草の掃除など黙々とこなしてくれたりしてくれ、残念ながら闘病やむなくこの8月に亡くなった S さんを偲ぼうという集いに十数名の方々が台風にもかかわらずやってきてくれました。未亡人も故人の習わしのように生ビールを車に積んでこられて、みなで献杯をいたしました。夜がすすむうちに歌声も交じっていつもどおりの賑やかな宴になってしまいましたが、そんな光景も目を細めて見てくれていたような気がいたします。改めてご冥福をお祈りします。合掌。
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by somaguchi2 | 2010-11-01 08:58